【なつぞら】なつ(広瀬すず)と夕見子(福地桃子)の会話が感動する。二人の関係をまとめました
柴田夕見子は北海道で暮らす柴田家の家族の一員です。この柴田家に戦争から帰った柴田剛男がなつをつれてきたところから、「なつぞら」は始まりました。
夕見子となつは同い年で、学校も同じでした。高校に行くと、なつは農業高校へ、夕見子は普通高校に進みます。二人は対照的な人物として描かれてきました。
私が思うのは、この二人はやっぱりいい関係で、夕見子がなつを励ましたりする場面は感動するのです。
なつと夕見子の関係をこれまでのなつぞらから振り返ってみたいと思います。
夕見子がなつに自分の服を譲らない
なつが夕見子としっかり絡んだのは第2話でした。夕見子の両親である剛男と富士子は、なつも学校に通わなければいけないと考えます。
ですが、なつは服がありません。そこで夕見子の服をなつに着せたのでした。それを見ていた夕見子が怒ります。
(富士子)やっぱりぴったりだわ、これ着て学校に行けばいいわ。
(なつ)ありがとう、おばさん。
(富士子)いいから。
(夕見子)ダメ、それはダメ。それはやんない。やりたくない。
(富士子)どうしたの、夕見子。
(夕見子)それは私が大事にしてるやつだもん。いやだ、絶対にやりたくない。
(富士子)いいでしょうよ。
(夕見子)いやだ、絶対にダメ。
(剛男)なしたんだ。
(夕見子)嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。
(富士子)だだこねないの。なっちゃんは着るもんないんだから。
(剛男)かわいそうだとは思わんのか。
(夕見子)ずるい、その子はずるい。
(剛男)何がずるいんだ?
(夕見子)その子がかわいそうなのは、私のせいじゃないもん。なんで私が我慢しなくちゃなんないの。
(剛男)夕見子。いろいろ我慢しているのはなっちゃんの方なんだよ。
(夕見子)その子が勝手にかわいそうになっているだけだべさ。
(剛男)なんてこと言うんだ。
(夕見子)ずるい、ずるい、ずるい、ずるい。
(富士子)したけど、着るもんがなかったら困るっしょ。
(なつ)大丈夫です。着るものなんかいりません。
(富士子)え?
(なつ)すみませんでした。
両親の注目が同い年のなつに行ってしまっていることが気に入らなかったのか、夕見子は激しく怒ったのでした。
「その子が勝手にかわいそうになっているだけだべさ」のあたりは夕見子らしさが出ています。なんでもはっきり言うのが夕見子でもありました。
でもやがて夕見子となつは仲良くなっていきます。
学校でなつを夕見子が守る
なつはよく牧場の仕事を手伝い、泰樹に認めてもらいました。そして学校に行くことを泰樹が許してくれたのです。
その最初の登校の時には、こんなことを言っていました。
(夕見子)仲いくなったの?
(なつ)はい
(夕見子)あのさ、もうわかったから無理に働かなくてもいいから
(なつ)別に無理してないよ。夕見子ちゃんも一緒にやらない?牛の乳搾り面白いよ
(夕見子)絶対にやだ!何で牛乳なんか搾らなくちゃなんないのさ
(剛男)夕見子は牛乳がキライなんだ。戦争から戻ってもまだ直ってなかったな
(夕見子)一生飲まんから
(なつ)あんなに牛がいるのにもったいない
(夕見子)牛なんか臭いだけだし私にとってはな〜んの役にも立たない
(なつ)えっあんなにかわいいのに…
学校に行ったなつはクラスメイトからいろいろ聞かれます。孤児院にいたこと、浮浪児だったこと。病気を持っているのではないかとまで言われます。それを見た夕見子はなつをかばってあげるのでした。
(なつ)私も空襲で家が焼けたのは同じです。それで親を亡くして孤児院にいました
(さち)孤児院?
(実幸)東京で?
(なつ)はい。その前は…浮浪児でした
(大作)ふろうじ?
(実幸)家がなくて外で暮らしてる子どもだべ。東京にはそういう子どもが街にたくさんいるんだって。野良犬みたいにくらしてて、バイ菌とか怖〜い病気いっぱい持ってるって
(みんな)ええっ!
(夕見子)ちょっといいかげんなこと言わないでよ!
(なつ)病気で死んだ子はいっぱいいました
(みんな)ええっ!
(夕見子)あんたまでいわないでよ!
(なつ)私は夕見子ちゃんのお父さんに助けられました。赤の他人なのに助けてくれたんです。それで北海道に来たんです
(さち)夕見子ちゃんのお父さん偉いね
(大作)だけど、こいつが病気だったらどうすんだよ
(夕見子)ちょっと!
(大作)病気じゃないって証拠見せろよ
(なつ)証拠?
(大作)野良犬が病気かどうかなんてちょっとみただけじゃ分かんねぇだろ
(なつ)フフフフ…
(夕見子)ちょっと何で笑うのさ!
でも、夕見子はなつのことがわからないと思っていたのです。何を言われても笑っているなつの気持ちが夕見子にはわかりませんでした。
(夕見子)ねぇ何で怒らないの?
(なつ)怒る?
(夕見子)嫌なこと言われたら怒ればいいじゃない。遠慮したって誰もあんたのこといい子なんて思わないよ
(なつ)別に…いい子じゃないよ 私は
(夕見子)ほらそういうとこ。もっと言い返せばいいじゃない
(なつ)言い返してるでしょ?
(夕見子)言い返してないよ
(なつ)なんて言えばいいの?
(夕見子)そんなことは自分で考えなよ
(なつ)難しいなぁ…
(夕見子)あんたは野良犬?病気なんか持ってないでしょ?
(なつ)分からない
(夕見子)えっ分からないの?
(なつ)孤児院のお医者さんは大丈夫だって
(夕見子)そしたら大丈夫さ。したらもっと怒りなよ
(なつ)浮浪児だったのは本当だし…
(夕見子)それはあんたのせいじゃないしょや
(なつ)怒らないでよ
(夕見子)あんたが怒んないからさ
なつは夕見子に怒られてしまいました。なぜなつが怒らなかったのか、それを泰樹があとで説明している場面がありました。幸せだから人は怒るのだそうです。生きる場所を探すことで精一杯のなつは怒ることもできなかったのです。
なつが夕見子を怒らせてしまう
さらになつが夕見子を怒らせてしまったことがありました。なつは東京にいる兄の咲太郎に手紙を書きました。そして富士子からお金を借りて手紙を出したのでした。
(夕見子)手紙出したの?
(なつ)うん
(夕見子)どこに出したの?
(なつ)東京のお兄ちゃんのところ
(夕見子)ふ〜ん、ねぇはっきり聞くけど、あんたはこの家にいたいと本当に思ってる?それともしかたなく?
(なつ)えっ?
(夕見子)私は別にどっちだっていいのよ。ただ 聞いておきたいだけ。はっきりしときたいのよ、あんたの気持ちを。だってそうじゃなきゃあんたをどう受け入れていいか分かんないんだもん。どっち?そこが分かんないと、どう優しくしていいか分かんないよ
(なつ)それなら無理に優しくしなくたっていいよ
(夕見子)えっ?
(なつ)私は大丈夫だから無理しないでね
この後、夕見子は「あの子…腹立つ」と富士子の前で言います。そして、なつといる妹の明美が泣いていたのを見て富士子に告げました。
(夕見子)ちょっと何してんのさ!明美大丈夫?何してたのさ!
(なつ)えっ…
(夕見子)お母さん!
(富士子)なしたの?
(夕見子)あの子が明美を泣かしてた
(富士子)え〜?どしたの?
(なつ)ごめんなさい!でも…
(富士子)もういいから…明美の世話はいいから、あんたはおじいちゃんの仕事手伝ってきて
(なつ)はい…
この後、なつは家出をしたのでした。
なつと夕見子の関係はやっぱり姉妹ではない
第14話ではこんなシーンがありました。高校生になったなつが帰ってくると妹の明美がごはんの準備をしているという場面です。
(夕見子)おなかすいた〜明美ちゃん、ごはんまだ?
(明美)まだ?じゃないよ、手伝ってよ。この家で暇な女は夕見姉ちゃんしかいないんだから
(夕見子)あんたがいるじゃない
(明美)私は女じゃない、女の子だ!
(夕見子)あんたにはまだ分かんないと思うけど、体を使うことだけが労働じゃないのよ。私もこう見えて暇じゃないの
(明美)こっちはそんなことを聞いている暇がないんだよ
(夕見子)そうやってね、ものを考えずにバカになってくのが一番怖いんだよ、女にとって
(明美)いいから手伝え!女らしくしろ!夕見!
(なつ)何騒いでんの?あっ明美ちゃん、ごめん、すぐ手伝うから
(明美)なつ姉ちゃん、このバカに何か言ってやってよ。自分は何もしないで人をバカにするんだもん
(なつ)はい、わかった、わかった。夕見子を当てにした明美も悪いよ
(夕見子)は〜い、分かった、分かった、おとなしくしてますよ
(なつ)夕見、何もしないなら、人の心をひっかき回すな!
この頃の夕見子は、家族をひっかきまわすことを得意としていました。ですが、こうやって姉妹でのけんかを見せる場面は、なつとは違って本当の姉妹をわざと見せているように思えました。
なつぞら第14話のあらすじと感想(2019年4月16日放送)
高校生になると姉妹のようになる夕見子となつ
なつが高校生になったとき、農協のことで泰樹と剛男がもめたことがありました。農協の職員である剛男は泰樹を説得しなければいけない立場でした。でも、婿養子の剛男は泰樹に頭がありません。
そこで剛男はなつの力を借りようとします。なつの友達の天陽も幸せになれるとまで剛男は言い、泰樹が農協との話し合いに応じるように、私は農協に賛成だと言ってほしいとなつに頼んだのでした。
夕見子はこのやり取りを聞いていました。その夜、ため息をついていたなつに忠告します。
(夕見子)だから私には関係ない迷惑だって言ってやればよかったのさ
(なつ)関係ないことないしょ、私だってこの牧場で働いてんだから
(夕見子)なつ、あんたにだって人生を選ぶ権利はあるんだからね
(なつ)どういう意味?
(夕見子)あんたが農業高校行ったのだって、じいちゃんの期待に応えるためしょ?その上父さんの期待に応える必要はないって言ってんの
(なつ)私は好きで学校に行ってるし、ここで働いてんの
(夕見子)そう?なつはどっかでまだ遠慮してんだよ
(なつ)そんなことない、いい?余計なこと言わんで
(夕見子)あっ…そうですか、それは余計なお世話でしたね。ではどうぞご自由に朝までじっくり悩んで下さい。おやすみ
(なつ)ねえタ見…
なつと夕見子はだんだん悩みを言い合ったりできる姉妹のようになってきました。
なつぞら第15話のあらすじと感想(2019年4月17日放送)
演劇に悩むなつに夕見子がアドバイス
農協のことで悩んだなつが相談したのは演劇部顧問の倉田先生でした。倉田先生はなつを演劇部に入れました。なつは演劇をやることになったのでした。
(夕見子)「俳優の使命は自分の技術を使って戯曲を演劇的リアリティーに転化させることである」へえ~、それから
(なつ)あっ…ちょっと何勝手に読んでんのさ!
(夕見子)随分その気になってんだ
(なつ)違うって、それは雪次郎君が勝手に貸してくれたのさ
(夕見子)何も隠すことないしょ
(なつ)何も隠してないってば!
(明美)う~ん…
(なつ)私が演劇をやるのはあくまでじいちゃんのためなんだから
(夕見子)何さそれ、つまんない
(なつ)えっ?
(夕見子)あんたのそういうところ本当つまんない、やるなら自分のためにやんなよ。やりたいんでしょ?それとも本当はやりたくないのかい?
(なつ)いや…今はやってみたいかも
(夕見子)だったらそれを認めて自分のためにやんなよ。じいちゃんのためとか言ってごまかしてないでさ。それなら私も応援する、してやる
(なつ)夕見?
(夕見子)ん、頑張れよ
(なつ)うん、ありがとう
夕見子は女でも自由に生きるという考えを持った人でした。このへんがなつとは違うところで対照的でした。
第25話では夕見子が北大に入りたいと両親に言います。富士子は反対でしたが、それでも夕見子は猛勉強して北大に入ってしまいました。それは自分らしく生きるためでもありました。
なつもやがては酪農をやめてアニメーターの道を目指すわけですが、夕見子の影響も多少なりともあったのではないかと思います。
なつぞら第20話のあらすじと感想(2019年4月23日放送)
演劇で落ち込むなつを慰めた夕見子
演劇部に入ったなつは挫折を味わいます。なつがセリフを言うたびに倉田先生はダメだと言います。演劇がこんなに難しいと思っていなかったなつは落ち込んで帰ってきました。
そんななつを慰めたのが夕見子でした。
(夕見子)えっ何そんな重いことなの?どうしたのよ?何があったの?
(なつ)悔しい。悔しいよ…
(夕見子)えっ?
(なつ)私は何もできないよ。できんかった…できないよりもっとダメなんだって…
(夕見子)何言ってんの…
(なつ)悔しい…
このとき、学校から帰ったなつは元気がなく、家族みんなが心配しました。なつはそのまま自分の部屋に行ってしまいます。家族の中で一人なつのところに行ったのが夕見子でした。
なつぞら第21話のあらすじと感想(2019年4月24日放送)
自分となつを比較していた夕見子
第32話でになると北海道は真冬でした。雪におおわれ、なつと夕見子はスキーで駅まで行きました。その途中で夕見子は転んでしまいました。
(なつ)タ見!大丈夫?朝方2時間しか寝てないしょ?
(夕見子)大丈夫。倒れるくらいで寝るとちょっとの睡眠時間でも頭がすっきりするのさ
(なつ)体壊すべさ
(夕見子)受験生だからしかたないしょ
(なつ)本当にすごいな、タ見は
(夕見子)本当は北大なんて行かなくてもいんだけどね
(なつ)じゃあ何で行くの?札幌なんて遠いとこへ
(夕見子)だって負けたくないしょ
(なつ)人に負けたくないから行くの?
(夕見子)人っていうか、そんなの無理だとか女のくせに無理だとか、そういう世間の目にさ
(なつ)う~ん…よく分かんない
(夕見子)私はなつみたいに分かりやすく戦ってないからさ
(なつ)どういう意味?
(夕見子)なつはどこにいたって戦ってるしょ、私には何もないから、自分の生きる場所は自分で選べるような人間になりたいのさ、ごめん寝不足で訳分かんないこと言ってる
(なつ)分かるわ、そんくらい…
なつと夕見子は対照的な考え方の違いがあって、なつのことを夕見子は気にしていないのかなと思って見ていました。
ですが、このとき夕見子はなつと自分を比較しているんですよね。夕見子がこういうことを考えていたとは思いませんでした。なんかこの頃から、特に夕見子の言葉に深さが出てきました。
夕見子の北大受験をなつが応援
夕見子は宣言通りに北大を受験しました。なつも夕見子を応援しました。
(泰樹)行くのか
(富士子)うん
(夕見子)行ってきます
(悠吉)これから試験かい?
(富士子)今日は札幌に行くだけ試験は明日から
(悠吉)いや~なまらすごいもな
(剛男)夕見子
(夕見子)ん?
(剛男)頑張れ、父さんはお前が誇らしいぞ
(夕見子)受かってから言ってよそんなこと
(剛男)父さんはお前を信じてる
(なつ)タ見なら絶対大丈夫!あんなに寝ないで頑張ったんだから
(明美)家事もしないで頑張ったんだから大丈夫!
(夕見子)あのさ、みんな大げさにしないでよ。私は大学受験で人生が決まるなんて思っていから。スキー大会に行くようなもんでしょや
(悠吉)ひえ~こりゃ大物だわ
(菊介)タ見子ちゃんそりゃ違うわ。スキー大会は人生かけた大勝負だ
(悠吉)そりゃおめえだけだべ
(菊介)そったらことねえべ
(富士子)そいじゃタ見子
(夕見子)うん。頑張ってくるわ
(泰樹)頑張ってこい
(夕見子)うん
(剛男)タ見子!頑張れ~!
(なつ)「エフエフジェイエフエフジェイわれらの誇り」
(照男)それは違うべや
(なつ)北大だってもともとは農業学校でしょ?
結果は合格でした。なつはと言えば、なかなかアニメーターになりたいということを泰樹に言えずにいました。
兄がいるからという理由を伝えると泰樹は怒ってしまいました。その後、本来の漫画映画を作りたいということを話すと泰樹は認めてくれました。
このとき、夕見子は「初めからそう言えばいいのよ」と言ったのでした。
なつぞら第42話のあらすじと感想(2019年5月18日放送)
なつぞら第43話のあらすじと感想(2019年5月20日放送)
なつの送別会と夕見子の合格祝い
高校を卒業したなつはアニメーターを目指して東京に行くことになりました。そこで夕見子はこんな挨拶をしました。
(夕見子)どうもありがとうございます!一生懸命勉強します。雨にも負けず風にも負けず、雪次郎にもなつの厚かましさにも負けぬ丈夫な頭を持ちます
(なつ)何さそれ
(夕見子)そういう大きな人間に私はなりたい!
こうして二人はそれぞれの道を進みました。夕見子は札幌へなつは東京に行き、それぞれの夢へと向かっていきました。
なつぞら第43話のあらすじと感想(2019年5月20日放送)
なつと夕見子が久しぶりに電話で話す
北大に行った夕見子と東京に行ったなつが久しぶりに話したのは電話でした。なつが東洋動画の試験に合格して入社が決まった時でした。
夕見子が公衆電話から、なつの働いていた川村屋に電話をしたのです。
(なつ)もしもしタ見!?
(夕見子)電話代かかるから手短に。おめでとうなつ
(なつ)ありがとうタ見!元気かい?
(夕見子)うん、元気。いい?なつ負けんな。中に入ったらとにかく負けんな。負けたらつまらんぞ
(なつ)じいちゃんみたいなこと言わんでよ。負けんよ、特に夕見には負けんから
(夕見子)はいはい。お金もったいないから切るね
(なつ)えっ?夕見!?もうすぐてれんだから、本当じいちゃんそっくり
この夕見子の言葉はなぜかわかりませんが胸を熱くさせるものがあるんですよね。
なつぞら第53話のあらすじと感想(2019年5月31日放送)
なつと夕見子が久しぶりに北海道で会う
その後、夕見子となつが会うことは第84話までありませんでした。このとき、なつの妹の千遥が柴田家に現れて、なつは急いで帰ったのでした。ですが、千遥はすでにいなくなっており、その後、千遥からの手紙が届きました。なつが東京に戻る前の日、夕見子が帰ってきたのです。
(夕見子)ただいま
(なつ)夕見!
(剛男)おお!
(夕見子)何さこの家は、女は働いて飯を作り男は座って飯を待つ。相変わらず、遅れてますもね
(なつ)タ見子、お帰り!
(夕見子)ただいま
(夕見子)久しぶりだね、ちゃんと生きてたのかい?
(なつ)うん
3年ぶりに会った夕見子となつでした。なつは夕見子とはじめて会う咲太郎を紹介しました。
(なつ)夕見?
(夕見子)うん?
(なつ)私のお兄ちゃん
(咲太郎)あ…咲太郎です
(夕見子)お~!あの泥棒の咲太郎かい!
(咲太郎)えっ?
(照男)夕見子、失礼だべ!
その夜、夕見子は千遥のことを話します。
(夕見子)千遥ちゃんって年いくつだっけ?
(なつ)今18
(夕見子)18で結婚?結婚するからもうなつにも咲太郎さんにも会えないっていうの?
(なつ)それはしかたないしょ…
(夕見子)しかたないって何がさ?大体、自分で望んでる結婚なの?
(なつ)それどういうこと?
(夕見子)周りが勝手に望んでるだけで、千遥ちゃんはしかたなくそういう流れに乗っかってるんじゃないかってことよ
(照男)おい勝手なこと言うなや、なつを不安にさせてどうすんだよ
(明美)人の心をひっかき回すな!
(なつ)私はそれが千遥の意志だって信じてるから
(夕見子)18で結婚することがそもそも女の意志って言えんのかい?
(富士子)18だったら十分お嫁に行く年だべさ
(夕見子)それ!母さん今つまんないこと言った
(富士子)はあ?つまんないこと!?
(剛男)それは言っちゃいかんだろ、タ見子!あ…
(夕見子)いいですか皆さん、女が子どもを産んだら母親になる。これは当たり前の話。したけどその前に誰かの妻になる、よそのうちの嫁になる、自分ではないほかのものになる。そういう固定観念を生み出しているものを疑わなければ、女はいつまでたっても自由には生きられないと私は言ってんのです
(なつ)もういいでしょや、そったらことは
(夕見子)ダメだ、もっと普通を疑え、なつ!
(富士子)いい加減にして、タ見子
夕見子が帰ってきて久しぶりに柴田家の食卓になりました。富士子がつまらないことを言うとか、夕見子が引っ掻き回すというのは以前からあったのですが、久しぶりに見ることができました。そして、夕見子の演説もらしさが出ていました。
その夜、夕見子となつは仕事のことを話します。夕見子が千遥から来た手紙にあったなつと咲太郎の絵を見ているところから始まりました。
(夕見子)不思議だね…お父さんの手紙は知らないんでしょ?
(なつ)えっ?
(夕見子)ほらあんたがそこに貼ってた戦死したお父さんの手紙にあった絵さ。それを知らないのに千遥ちゃんも同じことをしてたってことだべ?
(なつ)お兄ちゃんも東京で描いてたのさ、家族の絵を
(夕見子)咲太郎さんも?
(なつ)お父さんのまねして…
(夕見子)へえ…何だかあんたが絵描きになるのも必然だったんだね
(夕見子がなつの「グリム童話集」の本を見る)
(夕見子)随分幼稚なの読んでんだ
(なつ)えっ?
(夕見子)これ
(なつ)あっそれは仕事のために読んでんの
(夕見子)仕事?
(なつ)漫画映画の原作になるものを探してるんだわ
(夕見子)えっあんたもうそんな仕事までさしてもらってんの?
(なつ)短編映画だけどね…若手の育成のために企画から作らせてもらえることになったのさ
(夕見子)へえ…で何の話にするの?
(なつ)それが決まんなくて…
(夕見子)そういえば…あんたらきょうだいって「ヘンゼルとグレーテル」みたいだもね
(なつ)「ヘンゼルとグレーテル」?
(夕見子)そう、兄と妹の話だよね、これ。まま母に捨てられたきょうだいが森の中でお菓子の家を見つける話だよね
(なつ)うん、そう
(夕見子)ほら深い森の中に連れていかれる時、兄は帰り道が分かるようにパンをちぎって落としていくでしょ?
(なつ)うん
(夕見子)あんたらきょうだいにとってそのパンが絵なんだわ
(なつ)絵?
(夕見子)パンを落とす代わりに絵を描いてんの。それが自分の家に帰るための道しるべなんだわ!だけどそのパンは鳥に食べられてしまってきょうだいは帰り道を見失ってしまう。その鳥は…そう時の流れという名の鳥なんだわ!時は流れて子どもはいつしか子どもじゃなくなっていく
(明美)ねえ、何言ってんの?
(夕見子)ねえぴったりっしょ!なつがやるならこれしかないべ!
(なつ)「ヘンゼルとグレーテル」…?
夕見子のこのアイディアをそのままなつは会社に提案しました。そして見事採用されます。短編映画は、夕見子が企画に絡んでいたと言ってもいいんですよね。次の日、なつは咲太郎と東京に帰りました。
(なつ)それじゃ夕見またね
(夕見子)そのうち東京にも連絡すると思うわ
(なつ)必ずよ
(夕見子)うん
最後にこんな会話をしたのでした。
夕見子がいきなり風車にやってくる
なつが北海道を後にしてから間もなく、今度は東京に夕見子が来たのです。どうして来たのか、だれと来たのかもわからず、すぐに夕見子はいなくなります。
(なつ)夕見はどうして東京来たの?いきなり来たらびっくりするっしょ
(夕見子)それはごめん
(亜矢美)ねえお一人でいらっしゃった?
(夕見子)え?
(なつ)一人?
(夕見子)別に一人でないよ
(なつ)誰と来たの?
(夕見子)友達
(なつ)友達って、えっまさかあのドライブしてた男の人!?
(雪次郎)えっ夕見子ちゃん、えっ男の人いるんかい!?
(夕見子)あのね、いくつだと思ってんの?私が誰とどこで何をしようがそれが男だろうが女だろうが自由でしょや
(なつ)どういうことよ!ねえ母さんらは知ってるの?ここにいること
(夕見子)別に言う必要ないべ
(なつ)夕見
(夕見子)言ったらもうここには来ないから
(なつ)待ってやタ見、一体どしたの!?
(夕見子)誰にも邪魔されず東京にいたいだけ
(なつ)大学は?来年卒業しょ?
(夕見子)なつ今は個人の将来を考えてる時ではないべさ。この国の将来を考えないでどうするの!
(なつ)はあ?どうゆうことよ?
(咲太郎)学生運動か?学生がそういう運動してるって劇団でも話題になってた
(亜矢美)その運動のために東京に来たの?
(夕見子)まあ私も今やるべきことをやろうと思ってます。だからなつ、うちには知らせんで。過剰に心配するべ、うちの人は
(なつ)したけど…
(夕見子)私が時々電話して無事は伝えるから。もしあんたがそん時しゃべってたら、もう二度とここには来んからね
(なつ)ええっ…
(夕見子)雪次郎
(雪次郎)あっはい
(夕見子)あんたもね!
(雪次郎)あうん
(夕見子)それじゃお邪魔しました
(なつ)ちょっとどこさ行くの!?
(夕見子)友達がこの近くで東京にいる先輩と飲んでんだわ。とりあえずその先輩のうちに行くことになると思う。したらね
(なつ)ねぇちょっと夕見!
こうして夕見子はいなくなってしまったのですが、その後、また風車に現れます。
(なつ)ただいま
(夕見子)あっお帰りなつ
(なつ)夕見!どこいたの!何してたのさ!
夕見子は特に何も語らずでしたが、客として来ていた煙カスミが「この子しっかりしてるわよ」と言ったので、何か話したようですね。
その後、夕見子はカスミに歌を歌ってほしいと言い、みんなでフォークダンスを踊ったのでした。その後、なつと夕見子はこんな会話をしました。
(なつ)喉渇いてたの…夕見
(夕見子)うん?
(なつ)今日は私の部屋に泊まっていきなね
(夕見子)大丈夫、まだ帰れるしょや、みんなだって帰るんでしょ
(なつ)いいから泊まってって!
(夕見子)うわっ!もう酔っ払ってんの?
(なつ)酔ってないわ
(咲太郎)そうしてやってよタ見子ちゃん、なつが寂しがるから
(夕見子)なつは寂しがるんじゃなくて心配したがるだけさ
(なつ)どうゆうことよ?本当に心配してんだからね
(夕見子)北海道の家族をだべさ
(なつ)えっ?
(夕見子)私のことより北海道の家族のことが心配だから私が望まないこともしようとするんだべさ
(なつ)そんなこと…
(麻子)何でも言い合える仲なのね、本当の姉妹みたい
(夕見子)私となつは本物以上だも、うそのない姉妹だもね、なつ
(なつ)だったらなしてうそつくのさ
(夕見子)何のこと?
(なつ)今どこで誰といるか言わないべさ
(夕見子)うそと隠し事は違うべさ
(なつ)どこが違うの…
なつは酔いつぶれてしまいます。その夜、夕見子はなつの部屋に泊まったのでした。そこで夕見子がようやく話し始めました。
(なつ)ねえ夕見
(夕見子)うん?
(なつ)私にも分かるように話してよ
(夕見子)何をさ?
(なつ)どして東京来たのか、その人はどういう人なのか
(夕見子)その人は物書きを志してる
(なつ)物書きって小説とか?
(夕見子)小説に限らずよ、ジャズが好きだからジャズの評論とかも大学の同人誌では書いてる
(なつ)その人もタ見のこと本当に好きなの?
(夕見子)男にだまされてるとかそんな心配いらないからね、なつもその人に会えば分かる
(なつ)だったら会わせてよその人に
(夕見子)そのうちね、さあもう寝よ、布団一つ?
(なつ)うん
(夕見子)まいいか
(二人が布団に入る)
(夕見子)なつ
(なつ)ん?
(夕見子)迷惑かけて悪いね
(なつ)迷惑なんて思うはずないしょ
(夕見子)おやすみ
(なつ)おやすみ…
夕見子が一緒に東京に来た相手は、物書きをしている人だということは分かりましたね。そして、なつにも会わせてくれることになりました。その時はすぐにやってきました。
なつが夕見子の恋人と会う
夕見子は大学を辞めてもいいとまで言いました。まずは東京での仕事を探すと言います。そこで、亜矢美が風車で働いたらどうかと提案し、夕見子も仕事が見つかるまで働くことにしました。なつが仕事から帰ると、夕見子がいました。
(亜矢美)お帰り
(夕見子)お帰り
(亜矢美)結構降ってんね
(なつ)タ見、ただいま
(亜矢美)はい
(なつ)ありがとう
(泰樹が見える)
(夕見子)なつ、会わせてやったよ
(なつ)ん?えっ…!
なつが風車の中に泰樹がいることを発見しました。でも、それは見間違いでした。正確には泰樹のような髭が生えた男性でした。それが夕見子が東京に一緒にやってきた人だったのです。
それは高山昭治という人でした。髭は泰樹の写真を見てまねしたのだとか。夕見子は「あの人ある金持ちの跡継ぎでね、親の決めたいいなずけまでいるの」と説明していました。
なつが富士子に伝えたことが夕見子にばれた
なつは夕見子から強く家族への口止めをされていたのですが、亜矢美からのアドバイスもあって、富士子に電話で伝えました。その数日後。
(なつ)夕見…どしたの?
(夕見子)なつ…あんたうちの家族にしゃべったしょ
(なつ)えっ…
(夕見子)裏切ったしょ!
夕見子は怖い顔をして風車にやってきました。そしてなつに裏切ったと言ったのでした。でも、このあと、これまでの夕見子となつの関係をすべて物語るような場面が訪れました。
(夕見子)この人の家にもばれたんです
(なつ)えっ?
(夕見子)うちの親が大学や寮に連絡していろいろ聞いたみたいで、この人の家にも電話して居場所は知らないかって聞いたみたいで
(咲太郎)まあ…当然そうなるよな
(夕見子)したからもう東京を離れることにした
(なつ)どこ行くの?
(夕見子)分かんないよ、分かってもなつには二度と言わない、それで昨日まで働いた給金をもらいに来たんです
(亜矢美)まあ…はいはいようござんすけど…
(なつ)待ってやタ見!なして逃げるの?
(夕見子)逃げる?
(なつ)したってそうでしょや?好きならなして逃げるの?高山さんもタ見が好きならなして逃げるんですか?なして親に言えないんですか?親の決めた相手とは結婚しないで、タ見と一緒になりたいってなして言えないんですか?
(夕見子)うんだから…そういうことが嫌だって言ってるんでしょや!
(なつ)そういうことから逃げて幸せになれるとは思えないよ、夕見
(夕見子)結婚を認めてもらうことが幸せなの?したら幸せは人から与えてもらわなきゃいけないものなの?
なつは高山と夕見子が結婚してもいいと思っていたんだと思います。ここまでは。だけど、家族から逃げるのはよくなと言ったんですよね。だた、この後の高山の態度を見て、なつは二人の結婚を認めないと言います。
(高山)無理なんだわ、俺が家を継がないなんてできっこないんだ
(夕見子)なして!
(高山)夕見だってそう思ってるからここに来たんだべ!
(夕見子)どうゆうこと?
(泰樹が風車に入ってくる)
(高山)うちの親にばれればいいと思ったんでないのか?
(夕見子)はあ?
(高山)お前だって…本当は俺がマル高デパートの跡取りだから好きになったんだべ
(夕見子)それ本気で言ってんの?
(亜矢美が泰樹に気づく)
(高山)大体タ見は俺のことが好きでないべさ?いつも計算高くて偉そうで、俺に対する優しさなんて一つも感じたことなかったからな!
(夕見子)優しくできないのはあんたが甘えるからだべ
(高山)したらそっちが甘えればいいべ!そうゆうかわいげもないんだわ、君には!
(夕見子)かわいげって何?
(高山)分からない女だな、君は
(夕見子)それって女が分からないことも男のためには分かれってことでしょ!
(高山)そうゆうとこがもううんざりなんだわ
(咲太郎)おいなつ、何でお前が泣いてんだ?
(なつ)夕見は…子どもの頃から人に甘えたりしなかった…私がいたから…
(夕見子)は?
(なつ)9歳の時に突然見ず知らずの私がやって来て…夕見が一番親に甘えたかった時に私がいたから、タ見は誰にも甘えられずに…それでも私のことを受け入れてくれて…だから家族とか結婚とか、そうゆうことに冷めてるとこがあるとすれば、それは私のせいで…
(夕見子)なつ…
(なつ)でもね…夕見はただ一度も…一度もうそをつかなかった、私に対しても誰に対しても一度だってうそをつかず、うそのない夕見のままでいてくれた、それに私がどんだけ救われたか…今まで生きてきて、タ見のような素直な子に私は会ったことがない、こんなすてきな人見たことない、夕見が計算高くて偉そうだなんて…あんたはタ見のこと知らなさすぎる!あんたに夕見はやらない!絶対に渡さない!あんたと夕見の結婚を私は絶対に認めない!
(夕見子)なつ落ち着いて…そもそも結婚する気なんてないんだから
(高山)俺だって結婚する気はないよ
(夕見子)あんたは…自由になんてなれないんだね
(高山)自由になって飯も作れん女と結婚したってしょうがねえべ!
(なつ)ねえちょっと!
(咲太郎)もういい!もう終わった、話はついたから…
なつは自分のせいで夕見子が甘えられなかったと思っていたようです。「タ見のような素直な子に私は会ったことがない、こんなすてきな人見たことない」という言葉には感動しました。いろいろと子どものころからの二人を思い出す場面でした。
この後、風車に来た泰樹が高山を殴って一件落着でした。夕見子ははじめて泰樹に甘えるように抱きついて泣いてしまいました。
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なつと夕見子は対照的な性格や考え方を持っているように描かれていました。いつからか本当の姉妹のようになりました。
なつにとって影響を受けた人物の一人だと思います。二人とも柴田家の家族ですから、また、十勝に戻ったときに、二人らしい会話が聞けるかもしれません。
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