【なつぞら】女優の亀山蘭子(鈴木杏樹さん)が声優としても活躍!蘭子の出演シーンをまとめました

2019-08-01

なつぞらは広瀬すずさんが演じる奥原なつが主人公です。でも、それだけではありませんよね。数々の女優陣が出演しています。

富士子訳の松嶋菜々子さんがいて、亜矢美訳の山口智子さんもいます。そして、そこまで重要な役ではないのですが、鈴木杏樹さんも出ています。亀山蘭子という役です。

亀山蘭子はなつの兄である咲太郎が所属する「劇団赤い星座」の看板女優です。蘭子の演技を見て、なつや雪次郎も感動するほど、実力派の女優なのです。

NHKのなつぞら公式ページでは次のように蘭子を紹介しています。

新劇ブームの中で生まれた劇団のひとつ「赤い星座」の看板女優。美貌や演技のわりに、なぜか人気はパッとせず、映画出演の機会にも恵まれない。あるとき、漫画映画に声で出演する仕事が巡ってきて、運命が変わる。

https://www.nhk.or.jp/natsuzora/cast/index.html

新劇とは、ヨーロッパ流の近代的な演劇を目指す日本の演劇のことを言うそうです。そのブームがそのころあったということですよね。

今回は、亀山蘭子の登場シーンをまとめてみます。

亀山蘭子が登場したのは第47話

蘭子が最初に登場したのは、第47話でした。この頃、なつはアニメーターを目指し東京に出てきて、新宿の川村屋で働いていました。

蘭子の登場はなつと咲太郎が夢について話した直後でした。咲太郎はあつことがきっかけで、なつが北海道を追い出されたと勘違いしていました。

なつはアニメーターになる夢があるから東京に来たと言い、誤解は解けます。東洋動画に入りたいという話を聞き、咲太郎は「俺に任せろ」と言ったのです。そして、その後でした。

(咲太郎)誰ですかね?東洋のスターですかね

(蘭子)バカね咲ちゃん、あれは東洋の社長よ

(咲太郎)えっ!?

(咲太郎が大杉の前に走る)

(咲太郎)失礼ですが、東洋映画社長の大杉満さんでは?

(大杉)そうだけど、アータは?

(咲太郎)あっ失礼しました!私は劇団赤い星座の奥原咲太郎です!

(大杉)劇団赤い星座?

この場面で蘭子が少しだけ登場しました。咲太郎に東洋映画の社長の大杉を教える役ですね。セリフは少なかったのですが、廊下を颯爽と歩く女優の演技を見せ、存在感がありました。

鈴木杏樹さんが演じているのですから、さすがにこれだけで終わるわけはありません。

なつぞら第47話のあらすじと感想(2019年5月24日放送)

亀山蘭子の女優としての評価は高かった

NHKの公式ページでは、蘭子の「人気はパッとしない」と書いてあります。ですが、女優としての評価は高いようです。

それは東洋映画の社長の言葉からわかります。咲太郎が大杉社長と会った場面の続きです。

(咲太郎)私は劇団赤い星座の奥原咲太郎です!

(大杉)劇団赤い星座?

(咲太郎)女優の亀山蘭子がいる劇団です

(大杉)ああ、いつも脇役でいい味を出してくれているね

(咲太郎)ありがとうございます、いつもお世話になっております

東洋映画の社長も知っているし、いい味を出しているという見方なんですね。ただ、脇役であって、主役を演じるまでの女優ではないようです。

なつぞら第48話のあらすじと感想(2019年5月25日放送)

亀山蘭子が演じた「人形の家」のノラ役

第62話ではなつと雪次郎が劇団赤い星座の「人形の家」を見に行きます。「人形の家」は劇作家イプセンの代表作で、世界的にも有名です。その劇でノラ役を演じました。

(ノラ)何百万という女はそれをしてきたのです

(ヘルメル)そんなだだっ子のようなことを言うもんじゃない

(ノラ)そうかもしれません。けど私は今この時に目覚めたのです!この8年間私は見ず知らずの他人とこの家で過ごし、その人と3人の子どもまで作った。ああ…そのことを考えると私は耐えきれずこの身を引き裂きたくなるのです!

(ヘルメル)ノラ!私がどう言っても私はもう他人以上にはなれないのか!

(ノラ)もし本当の奇跡が起こるなら…

(ヘルメル)本当の奇跡?それは何だ?

(ノラ)私たち2人がすっかり変わって…いいえ私はもう奇跡なんか信じない!

(ヘルメル)私は信じる!私たちは変われる!

(ノラ)私たちの生活が本当の結婚になるなら…さようなら

(ヘルメル)ノラ…奇跡!奇跡だと!?

劇の内容はドラマの中でもなつが次のように言っています。

びっくりしました人形は出てこないんです。人形は奥さんなんです。子どもの頃、父親に人形のようにかわいがられてて大人になってから旦那さんに人形のようにかわいがられてた奥さんが最後に目が覚めたと言って家を出ていってしまうんです!

なつぞら第62話のあらすじと感想(2019年6月11日放送)

なつと蘭子の出会い

なつは亀山蘭子の演技に感動しました。雪次郎も同じように感動します。咲太郎が二人を亀山蘭子に合わせてくれることになりました。

楽屋から出てきた蘭子は、なつや雪次郎と話しました。

(咲太郎)蘭子さんお疲れさまです、ちょっといいですか?

(蘭子)はい

(咲太郎)蘭子さん、俺の妹なんです

(なつ)あ…奥原なつです

(蘭子)あれ咲ちゃん家族いた?孤児院で育ったんじゃなかったっけ?

(咲太郎)育ってはいませんよ。一時いただけです。その時妹もいたんです。それからすぐバラバラになって、9年ぶりに再会して今一緒に暮らしてます

(蘭子)まあ…新派になりそうなお話ね。どうでしたか?舞台は

(なつ)あ…いかったです!何て言うか…本当にすごかったです

(咲太郎)よかったとすごかったしか言ってないぞ、お前

(なつ)いやほかに言葉が浮かばなくて…あ、絵に描きたいと思いました

(蘭子)絵?

(咲太郎)あ、なつは漫画を描いてるんです

(なつ)漫画映画です。それにまだ描いてません。あっでもこの感動は絵には描けないかなとも思いました。それくらいすごかったです

(蘭子)何だかとてもこんがらがった感想ね、フフフ…

(なつ)すいません…

(蘭子)でもありがとう、うれしいわ

(なつ)こちらこそ

(咲太郎)それからこいつはなつの友達で北海道の農業高校で演劇をやってたやつなんですよ

(雪次郎)あ…小畑雪次郎です!

(蘭子)演劇部だったの?

(雪次郎)はい

(蘭子)へえ…どうでしたか?

(雪次郎)はい、本物は…普通なんだと思いました

(蘭子)えっ?

(咲太郎)お前何言ってんの?

(雪次郎)あっ普通っていうのは普通の人がまるでそこにいるみたいというか。そういうアマチュア精神を感じるというか…

(咲太郎)お前失礼だろ!

(雪次郎)あっいえ、普通の人が言いたい言葉を代弁するというか、伝える力がプロなんだと思ったんです。あの別にスターとかじゃなくて普通の人間だから伝わる精神を持ってるのが、なまらすんげえ俳優なんだと思いました。それが新劇なんだと思いました

(咲太郎)すみません、蘭子さんこいつの感想もこんがらがってます

(雪次郎)すいません…

(蘭子)あなた今何をしてらっしゃるの?

(雪次郎)はい…新宿の川村屋でお菓子作りの修業をしています

(なつ)雪次郎君の家は帯広でお菓子屋さんをしてるんです。お菓子とおんなじくらい雪次郎君は本当に芝居が好きなんです

(蘭子)そう…それでよく芝居をやめられたわね

(雪次郎の顔が固まる)

(蘭子)今日はどうもありがとうございました

(なつ)ありがとうございました!

(咲太郎)お疲れさまでした!

(蘭子)お疲れさま

(なつ)どしたの?雪次郎君

(雪次郎)いや…

蘭子が言った「それでよく芝居をやめられたわね」で雪次郎は固まってしまいました。かなり衝撃を受けた一言だったようです。

雪次郎は高校でも演劇をやっていたし、演劇のことをよく勉強していました。そんな雪次郎は風車に戻ったあとにこんなことを言っています。

(雪次郎)芝居は運動なんかじゃないです

(亜矢美)あれ…何かいつもと目が違わない?

(雪次郎)演劇や文学の目的は問題の解決にあるんじゃないとイプセンは言っています。その目的は人間の描写です。人間を描き出すことです。イプセンは詩人や哲学者としてそれを描いたんです。そしてそれを見た観客も詩的や哲学的になることなんですよね

(亜矢美)キャ~見事にそのとおりになってるね、ね、ね

(咲太郎)お前よく勉強してんな本当に

(雪次郎)いやいくら本を読んでも分からなかったことが、あの人の演技を見て、よく分かったんですよね。実感できたんです

(亜矢美)亀山蘭子?

雪次郎は前から、咲太郎に会うと新劇の話を聞きたがっていました。本当は北海道に戻ってお菓子屋をやるよりも、演劇の世界を夢見ていたんですよね。

なつぞら第62話のあらすじと感想(2019年6月11日放送)

亀山蘭子が声優に挑戦する

なつが入社した東洋動画では、「白蛇姫」という漫画映画を作っていました。その白娘の声優として亀山蘭子が抜擢されます。本当は別の俳優でしたが、演出の露木とうまく行かずに降りたためでした。

蘭子はスタジオに入りアフレコを行います。演出の露木が蘭子に説明をしました。蘭子も初めての声優でよくわかっていないようでした。

(露木)これが白蛇姫です

(蘭子)これが私?

(露木)はい、これは人間の姫となった白娘です

(蘭子)これ私に似てませんわね。どっかの映画スターじゃないのかしら?私こんなに美人じゃありませんわよ

(露木)あっいえいえ、問題はありません顔は出ませんから。声が美人ならもうそれでいいんです

(蘭子)まあ正直に失礼なことおっしゃるのね

(露木)アッハハハ…はい、失礼しました。この役は亀山さんにしかできないと私はずっとそう思っていたんです。先日の「人形の家」のノラ役拝見しました。すばらしかった。漫画映画といえどもこの作品には芝居の深みが欲しい。スターの声なんていらないんです

(蘭子)まあやってみましょう

(露木)よろしくお願いします。それとですね、こちらの侍女の小青役もお願いしたいんです。小青というのは青魚の妖精なんです

(蘭子)これも私がやりますの?

(露木)はい、あっ適当に声を変えて頂いて

蘭子は白娘の役だけでなく、小青というもう一人の役を演じることになりました。

一緒にアフレコを行ったのは、先生と呼ばれている豊富遊声でした。活動弁士をやっていて先生と呼ばれていました。

遊声に比べると、蘭子は経験がありませんから、露木からのダメ出しもありました。あれだけ、人形の家のノラ役を褒めていた露木もきついことを言いました。

(蘭子)許仙様、白娘様があなたをお待ちかねよ

(遊声)ぱいにゃんさま?

(蘭子)ええ、私のご主人様、あの城のお姫様ですわ

(露木)ちょっと待った、ストップ。あのね、小青はそんなやり手ババアみたいな声じゃないんですよ。まだ少女なんです。少女でありながら色気があって、それでいてちゃめっ気もあるんですよ。ちょっとやって

(蘭子)許仙様、白娘様があなたをお待ちかねよ。こうですか?

(露木)もうちょっと声にしなを作って歌うように

(蘭子)許仙様、白娘様があなたをお待ちかねよ

(露木)あっいい、そんな感じそれでいきましょう

(蘭子)あ…はい

(露木)お願いしますよ。はいもう一回

(咲太郎が笑いをこらえる)

咲太郎は声を変えている蘭子の姿がおもしろくて笑いをこらえていました。この後、蘭子は咲太郎と話します。

(蘭子)咲ちゃんこれも劇団のため、活動資金を稼ぐためよね

(咲太郎)はい、そうです。けどいいですよ。面白いです

(蘭子)豊富先生はさすがにお上手ね、元弁士だけあって

(咲太郎)上手ですが、森繁久彌ならもっとうまい気がします

(蘭子)フッ…まあ

このあと、なつと仲も見学に来ました。

なつぞら第64話のあらすじと感想(2019年6月13日放送)

白蛇姫の二役を見事にこなす

なつがアフレコを見学しにきました。以前になつに会っていた蘭子は「あなたが描いてる絵ってこれだったの?」と言いました。

そして、絵の動きに合わせて蘭子と遊声が声を吹き込みます。

(蘭子)キャッ!

(遊声)離れろ許仙!その女は白蛇の化け物じゃ!

(遊声)何をおっしゃいます!やめろ法海!

(遊声)えい!正体を現せ白蛇め!

(蘭子)許仙様私を信じて下さい…

(遊声)あっ白娘!白娘!どこ行った!?白娘!

(蘭子)こうなったら許仙様を思う私の心が勝つか、私を憎むあなたの心が勝つか戦いましょう!

(遊声)望むところじゃ!とっとと消えうせい!えい!えい!やあ~!そら!

(蘭子)私の心を思い知るがよい!

(遊声)うわ~!うわ~…!ええい!やあ!勝ったぞ!ハハハ、わしの勝ちじゃ!

(蘭子)ああ、許仙様…ああ、許仙様…

(白娘が泣く映像を見ていたなつが思い出す)

(なつは見ながら泣いていた)

なつは感動していました。咲太郎も、前は漫画映画を子どもの見るものだと馬鹿にしてたのですが、この蘭子の姿を見て少し変わったようです。咲太郎は後にこのように言っています。

しかし漫画映画も案外いいもんだよ。役者の声にはああいう可能性だってあるんだよな。亀山蘭子が声を吹き込んで漫画の白蛇姫が泣いた時…いい芝居するなと思って。ま、とにかくこれは面白い発見だった、うん

蘭子の演技を見て感動した人がもう一人いました。土間レミ子でした。土間レミ子は「人形の家」を見て新劇がやりたくなったのです。そして咲太郎にお願いに来ました。

なつぞら第64話のあらすじと感想(2019年6月13日放送)

なつぞら第65話のあらすじと感想(2019年6月14日放送)

「わんぱく牛若丸」では常盤御前役

白蛇姫での声優の評判がよく、亀山蘭子は第二作の「わんぱく牛若丸」でも常盤御前の声を担当することになりました。

(蘭子)あの~声は普通にしゃべっていいのね?

(梅雨い)もちろんです、構いませんとも。亀山蘭子の芝居をこの作品では取り入れたいんです

(蘭子)分かりました

演出は白蛇姫の時と同じ露木です。あの時はけっこうきつめに言われたので、今回は最初に確認していました。

なつぞら第70話のあらすじと感想(2019年6月20日放送)

蘭子は咲太郎の会社で声優の仕事をする

咲太郎が新しく会社を作ることになりました。そのきっかけは亀山蘭子でした。蘭子が東洋動画の漫画映画で声優をやったことで、声優の仕事が増えたと言います。そこで咲太郎はチャンスだと思ったようです。

(咲太郎)なつ、蘭子さんはな、お前の作ってる漫画映画に声で出るようになってから、声の仕事がたくさん来るようになったんだ

(なつ)へえ…ああラジオとか?

(咲太郎)違う、外画だ

(なつ)ガイガ?

(咲太郎)外国のテレビ映画だよ、吹き替えだ

(なつ)あ~あの…川村屋で見たことあるあの日本語の外国映画?

(咲太郎)そうそれだ、テレビの世界では今そういう仕事が増えてるんだ。俺は蘭子さんについて放送局を回るうちにこれはチャンスかもしれないと思ったんだ

(なつ)チャンス?

(咲太郎)なつ、俺は劇団を辞めて会社を作ることにした

(なつ)えっ…

(咲太郎)声だけのプロダクションを始めるんだよ

(なつ)声だけの?

(咲太郎)声だけの俳優、声優だ

きっかけを与えただけでなく、実際に咲太郎の会社の声優の仕事を蘭子もやることになります。

(咲太郎)蘭子さんがうちの所属第1号ということになる。そして雪次郎とレミ子もうちで声の俳優になるんだ

(なつ)みんなで劇団辞めちゃうってこと?

(蘭子)まさか辞めないわよ

劇団をやめるわけではないようです。女優の仕事をしながら、声優の仕事もするということですね。そして、さっそく海外のドラマの吹き替えの仕事がありました。

ところが、島貫の吹き替えが映像と合わなかったり、雪次郎がなまっていたりとうまく行きませんでした。

蘭子は「一度幕の開いたお芝居はやり直しがきかないのよ。今のあなたには舞台に立つ資格もないわね」と雪次郎に言ったのでした。おっとりした感じに見えますが、仕事に対してはこういう厳しい面も蘭子にはあるんですね。

なつぞら第88話のあらすじと感想(2019年7月11日放送)

なつぞら第89話のあらすじと感想(2019年7月12日放送)

「ヘンゼルとグレーテル」の魔女役

咲太郎の会社ができる前から、蘭子はなつの会社の東洋動画の漫画映画の声優をやっていたわけですが、ヘンゼルとグレーテルでも魔女役を熱演しました。

(雪次郎)お疲れさまでした

(蘭子)ありがとう、どうだった?

(雪次郎)まるで魔女に蘭子さんが乗り移ってるみたいでした

(蘭子)そう、私の演じた魔女はとてもいいキャラクターね、気持ちが自然と入ったのよ、絵もチャーミングだしとても好きだわ

(雪次郎)はい

(麻子)ありがとうございます、あっあっすいません

(なつ)魔女はほとんどこのマコさんが考えて描いたんです

(麻子)本名は麻子です、大沢麻子と申します

(蘭子)そう魔女には大沢麻子さんの魂が込められていたのね

(麻子)はい

魔女は麻子が描いたキャラクターです。そしてこの作品を最後に麻子はアニメーターを辞めました。最後に素敵な言葉を蘭子は送ったんですね。

なつぞら第96話のあらすじと感想(2019年7月20日放送)

蘭子と雪次郎の恋

蘭子と言えば、雪次郎との恋がありましたね。女優や声優としての役だけだと思っていたのですが、雪次郎の人生の大きな影響を与えたのが蘭子でした。

劇団赤い星座では「かもめ」の公演をやることになりました。その主役はもちろん蘭子でしたが、もう一人の主役が雪次郎でした。

(福島)それじゃ今から次回公演の「かもめ」の配役を発表します。アルカージナ亀山蘭子(蘭子)はい

(福島)トレープレフ小畑雪次郎。小畑雪次郎!

(雪次郎)はい!

(虻田)ちょっと待って下さい。その配役に異議を申し立てます

(福島)異議?

(虻田)小畑雪次郎がなぜ主役に選ばれたか、その理由を説明してください

(何人か劇団員が立ち上がる)

(福島)何だ?君たちは…

(劇団員)我々はこの配役が一人の俳優の私情によって決められていることに問題を提議します!

(福島)それは全く事実無根だよ、君

(虻田)我々の意見も聞き入れ新たに劇団の総意とし演目と配役が選ばれることを要求します。それができなければ我々はこの公演に一切協力することはできません

(蘭子)しかたないわね。できないという人に無理に参加してもらうことはないわよ

このとき、雪次郎と蘭子の恋仲が噂されていました。それを気に入らない劇団員たちはやめていったのです。

雪次郎も新しい劇団を作ることを誘われたのですが、蘭子を選びました。雪次郎にとっては蘭子と共演することが夢だったからです。

雪次郎は蘭子に思いを寄せていました。でも、蘭子はどういう気持ちなのかはよくわからなかったのです。ただ、演劇に関しては蘭子は厳しき接しました。

(蘭子)ちょ…ちょっと待って!ちょっと止めてちょうだい

(福島)はい、ちょっと止めようか

(蘭子)あなたね、無駄な動きが多いのよ

(雪次郎)はい、すいません…

(蘭子)自分を見せようとせずにちゃんとトレープレフがここにいるっていうことを演じなさい

(雪次郎)はい分かりました!

雪次郎の演技に納得がいきません。そして、蘭子は雪次郎の稽古につき合うことにします。二人での稽古の時、蘭子が過去について話し始めました。

(蘭子)ダメ!全くダメ!

(雪次郎)はい…もう一回お願いします!

(蘭子)もういいわ。少し休みましょう

(雪次郎)すいません…

(蘭子)あなた覚えてる?

(雪次郎)えっ?

(蘭子)あなたが初めて私の芝居を見に来てくれた時のこと

(雪次郎)はい…もちろんです。「人形の家」でした

(蘭子)あの時あなたが私に言ったこと

(雪次郎)えっ…

(蘭子)私の芝居にアマチュア精神を感じると言ったのよ

(雪次郎)あっ…

(蘭子)それはどうして?

(雪次郎)あ…それは高校の時、演劇部の顧問だった倉田先生に言われていたからです。アマチュア精神を忘れたような芝居をするなって。役者としてうまくやろうとするな、かっこつけるな、普通の人間としてしゃべれって。本物の役者こそ、まさにそういうもんだと思ったからです、蘭子さんを見て

(蘭子)私も言われたのよ。最初にお芝居を教えてくれた大先輩に新劇で一番大事なものはアマチュア精神だって。こんなふうにその人はいつまでも私につきあって徹底的に教えてくれたの

(雪次郎)男の先輩ですか?

(蘭子)もう…死んだけどね。戦争が激しくなって私は疎開したけど、その人は移動演劇隊に入って…昭和20年8月6日に広島にいて…

(雪次郎)蘭子さんはその人のことを…

(蘭子)あの人と同じ言葉を言ったあなたにはあの人の分も生きて演じてほしいのよ。頑張ってほしいの、これからも

(雪次郎)分かりました

(蘭子)それじゃもう一回やりましょう

(雪次郎)はい

蘭子には過去に愛した人がいたようです。その人は戦争でいなくなってしまいました。そこに現れた雪次郎は、その人と同じことを蘭子に言ったんですね。

つまり、蘭子としても雪次郎は特別な存在であったのでしょう。この二人の距離が近づき、一緒に「かもめ」で共演し、恋が発展するのかと思いきや、そうはいきませんでした。

蘭子は「かもめ」の公演が終わった後、雪次郎を家に誘いました。そしてワインで乾杯します。そこで雪次郎が告白しました。

(雪次郎)俺は蘭子さんが好きです

(蘭子)こんな所に呼んじゃったから何か勘違いさせちゃったのかしら?

(雪次郎)これは…俺の勘違いですか?

(蘭子)そういう覚悟をしてここに来たわけ?

(雪次郎)はい…来ました

(蘭子)そう

(雪次郎)実は舞台の稽古が始まる前に劇団を辞めていった虻田さんたちから俺も誘われていたんです。新しい劇団を創って新しい演劇を生み出そうと言われました。だけどすぐに断りました。迷わず断りました!俺の夢は蘭子さんと芝居をすることだったから。新しい演劇を創るなら蘭子さんと創りたいんです!この劇団を蘭子と盛り上げていきたいんです!蘭子さん…俺は蘭子さんを絶対に裏切りません

(蘭子)フフフフフ…ハハハハハ…あなたやっぱり勘違いしてるわ

(雪次郎)えっ?

(蘭子)私が今夜あなたをここに呼びつけたのはダメ出しをするためよ

(雪次郎)はい

(蘭子)あなたの演技は最悪だった!最低最悪。下手すぎて舞台の上で何度も笑いそうになったわ

(雪次郎)すいません

(蘭子)今更撤回したってダメよ。あなたの勘違いしてる言葉をさんざん聞かされたあとだもの。気持ち悪いったらありゃしないわ。悪いけどあなたとはもう何も一緒にできないわ。その虻田さんたちのところに行って!そこでその新しい演劇とやらを創ったらどうなの!アマチュアはアマチュアらしくね。早く出てってちょうだい

(雪次郎)蘭子さん…

(蘭子)出てって!

雪次郎の告白を蘭子は受け入れませんでした。そしてひどい言葉を言って、雪次郎は出て行ってしまいます。ただ、その後、蘭子は泣くのでした。

蘭子は本心とは違うことを言ったんですね。このことを雪次郎が風車で話すシーンがありました。

(雪次郎)俺がいたら気持ち悪いと…下手くそ過ぎて使えねえともはっきり言われた…もう一緒にはできねえと…

(亜矢美)それはうそなんじゃないかな?

(雪次郎)えっ?

(なつ)亜矢美さん…

(亜矢美)雪次郎君をそっちの劇団に行かせるためにさ、うそついたのよ

(雪次郎)うそ?

(咲太郎)俺もそんな気がするな。蘭子さんは反対にお前の力を認めてくれたんじゃないのか?お前なら蘭子さんから独立しても芝居をしていけるって

(亜矢美)その方がいいよって、精いっぱいの愛情を示したんじゃないのかな、きっと。なっちゃんはどう思う?

(なつ)私は…分かりません…ただつまり自分といたら雪次郎君が不幸になるって蘭子さんはそう思ったってことでしょ?蘭子さんにとって生きることは、舞台に立つことで、そのために誰も自分の犠牲にしたくないって…本気でそう思って生きてるとしか思えない

(雪次郎)かなわねえよな…

雪次郎と蘭子の恋は終わりました。これをきっかけに雪次郎は俳優をやめる決心をして、北海道に帰っていきました。

雪次郎に俳優への道を選ばせたのも蘭子ですが、俳優の道を諦めさせたのも蘭子だったんですよね。

なつぞら第98話のあらすじと感想(2019年7月23日放送)

なつぞら第99話のあらすじと感想(2019年7月24日放送)

なつぞら第100話のあらすじと感想(2019年7月25日放送)

なつぞら第101話のあらすじと感想(2019年7月26日放送)

今回は亀山蘭子の出演シーンをまとめてみました。「人形の家」のノラ役や「白蛇姫」の声優として、蘭子はいろんな人に影響を与えています。

雪次郎もそうですが、なつだって影響を受けました。「人形の家」を見た日、なつは蘭子の演技を思い出しながら絵を描きたくなったのです。

やっぱり女優の影響力ってすごいんだなと思わせます。これから蘭子は声優としてさらに活躍すると思います。雪次郎との絡みがあるかもしれません。

このあたりを気にしながら、また亀山蘭子の登場を楽しみにしたいと思います。