【なつぞら】奥原千遥(清原果耶さん)になつと咲太郎が再会!?兄妹の軌跡をまとめました

2019-08-01

奥原千遥はなつの妹です。終戦後の東京で兄妹は浮浪児として生活していました。それがバラバラになってしまいます。千遥は一人千葉の親戚の家に預けられたのです。

千遥は子どもの頃以来、画面に登場することはありませんでしたが、なつにはずっと千遥と会いたいという気持ちがありました。

そしてついに千遥が現れます。千遥役のキャストはNHKのサイトを見ても、だれなのかわからなかったのですが、清原果耶さんが演じることになりました。

なつ、咲太郎、千遥の3人のこれまでの軌跡を「なつぞら」の放送から振り返ってみます。

なつは終戦後の東京で千遥と浮浪児として暮らしていた

なつたち兄妹が東京にいたとき、空襲のあとの回想シーンで千遥が登場します。千遥を背負ったなつがおばあさんに声をかけるシーンでした。

(なつ)おばあさん、お願いです。空襲でお母さんがいないんです。妹も死にそうで。最後に何か食べ物を分けてもらえませんか?

(おばあさん)私の孫も空襲で死んでしまってね。孫の分まであなたたちが食べなさい。

(なつ)ありがとうございます。

なつはおばあさんから奪い取るようにサツマイモを取ります。そして、千遥とサツマイモを分け合って食べたのでした。人をだましてでも食べ物を手に入れて生き延びたということですよね。

ナレーションでは、「私はおばあさんやお孫さんに同情する余裕すらありませんでした。妹のちはると生きるためにはどんなことでもしようと必死でした。自分がずるいとさえ思ってもいませんでした」と流れました。

戦後、東京で浮浪児として暮らしていたなつはいつも千遥と一緒でした。兄の咲太郎は、エノケンの「洒落男」を歌いながらタップダンスを踊って進駐軍に見せました。そしてお金を稼いできました。

第7話では、上野で暮らす姿が見られました。

(咲太郎)こうやって金をためていけば、いつかまた父ちゃんと母ちゃんの店が建てられるぞ、なつ

(なつ)本当?

(咲太郎)ああ、きっと兄ちゃんが建ててみせる。またそこで 千遥となつと3人で暮らそう

咲太郎はなつと千遥と暮らすために頑張っていたのでした。

(咲太郎)アメリカ製の靴墨だ。これがあれば もっと客が来るぞ。悪いけどもう少しの辛抱だ。これで頑張ってくれ

(なつ)大丈夫 私 靴磨きは得意だから任しといて!千遥、一緒に頑張ろうね

(千遥)うん!

なつはまだ小さい千遥と靴磨きをしてお金を稼いでいたのでした。なつはこの生活に幸せを感じていたと言いますが、その後、警察が戦争孤児を保護する「狩り込み」によって、なつたちは孤児院に入ることになりました。

なつぞら第2話のあらすじと感想(2019年4月2日放送)

なつぞら第7話のあらすじと感想(2019年4月8日放送)

千遥だけが親戚に預けられる

なつは北海道に渡ります。そして柴田家で暮らすことになりました。それはなつの父の戦友だった柴田剛男が連れて行ったのでした。

第8話では剛男がなつと咲太郎のいる孤児院に行った場面が流れました。そこで咲太郎が説明していました。

(剛男)奥原咲太郎君となっちゃんでしょ?君たちを捜し回ったんだよ。やっと会えた。あの…もう一人小さなお嬢さんがいらっしゃるとお父さんから聞いてたんだけど、まさか…

(咲太郎)千遥は親戚に預けました

(剛男)親戚に?妹さんだけ?

(咲太郎)まだ小さい妹だけならばって連れてった

(剛男)そうだったのか…

(咲太郎)それは つらかったね

剛男はこのとき、なつだけを連れて行きます。なぜ咲太郎も北海道に行かなかったかというと、それは千遥がいたからでもありました。

(剛男)君はどうするんだ?

(咲太郎)俺まで行ったら下の妹が かわいそうだから…千遥を迎えに行けなくなるから…それに なつのことも必ずそのうち迎えに行きますから!だから それまで…大丈夫だよ なつ、ちょっとの辛抱だ。手紙を書くから。兄ちゃんしっかり働いて必ずなつを迎えに行くからな。千遥と一緒に迎えに行くよ。だから おじさんの家で辛抱して待っててくれ

千遥だけはなつや咲太郎のいた孤児院にはいませんでした。その行き先が千葉だったのです。

なつぞら第8話のあらすじと感想(2019年4月9日放送)

なつは北海道でも千遥のことを思い出す

北海道からは兄の咲太郎に手紙を出しました。妹の千遥にも手紙を出したいので住所を教えてほしいと書いたのです。でも、咲太郎から返事が来ることはありませんでした。

なつは千遥のことを忘れず、柴田家の末っ子の明美と千遥が重なることもありました。「お母さん、お母さん」と泣く明美を見て、お母さんに会いたいと泣く千遥を思い出したのでした。

第6話ではなつは兄や妹に会いたくなり、家出しています。

なつぞら第6話のあらすじと感想(2019年4月6日放送)

なつが咲太郎と再会したときも千遥のことを捜したいという

東京で浮浪児だったころ、なつと一緒に暮らしていた信哉が北海道のなつを訪ねたことがきっかけで、なつは東京に兄の咲太郎を捜しに行くことになります。なつが高校3年生のときでした。

第29話ではなつが約10年ぶりに咲太郎と再会します。あの孤児院で別れて以来の再会でした。そのとき、なつは今度は千遥を捜したいと言います。

(富士子)そんでこれからどうするの?あんたはどうしたいの?なつを

(咲太郎)俺は…なつはどうしたいんだ?

(なつ)私はお兄ちゃんに会えたから、今度は千遥に会いたい!

(咲太郎)千遥か…

(なつ)どこにいるの?

(咲太郎)それが分からないんだよ、おじさんの家いつの間にか千葉から引っ越したらしくて

(なつ)えっ…

(信哉)じゃあ、その後の消息は分かんないのか?

(咲太郎)だけど心配ないよ、千遥も今はきっと幸せに暮らしてるよ

(なつ)どうしてわかんのさ?

(咲太郎)昔手紙を書いたことがあるんだ、なつの居場所を知らせようと思って。そしたらおばさんから返事が来てな。千選は今すっかりこの家に懐いてるから変に手紙を書いたり会いに来たりしないでくれって。里心がつくといけないからな

(なつ)そうなんだ

(咲太郎)ああ、千遥は今頃俺達のことをすっかり忘れているかもしれないな

(なつ)そんでも捜したい

(咲太郎)分かったよ、それは俺に任せろ

(なつ)うん

咲太郎が任せろとは言ったものの、あまり積極的ではありませんでした。

後になつが東京に出てきて、東洋動画への入社を決めたとき、就職祝いがありました。そこに信哉も来ます。

(咲太郎)よし、これで昔の家族もそろったな

(なつ)千遥がいないけど…

(咲太郎)千遥のことは言うな

(信哉)そういえば親戚の移転先は探さないのか?

(咲太郎)探してどうするんだ、幸せを壊すのか?

咲太郎は千遥が幸せに暮らしていると信じていたのでした。それがあまりにも楽観的だったことはまだこのときは気づくこともできませんでした。

なつぞら第29話のあらすじと感想(2019年5月3日放送)

千遥を捜索が始まる!

第63話では、放送記者になった信哉となつが川村屋で会います。信哉が取材したニュースがテレビで流れます。それは上野駅の迷子のニュースでした。

上野で過ごしたこともあるなつは千遥を思い出しました。

(なつ)ねえ、信さん…お願いがあるんだけど

(信哉)何?

(なつ)千遥を見つけたい

(信哉)えっ?

(なつ)千遥の行方を捜したいの

なつは放送記者として働いている信哉に千遥を捜したいと伝えました。その夜、あまり前向きでなかった咲太郎にもなつが話します。

(なつ)あのさお兄ちゃん、話があるんだけど

(咲太郎)話?何だ?

(なつ)千遥のこと。今どこにいるのか知りたい

(咲太郎)なつ…

(なつ)千遥が私らのこと忘れててもいい。千遥がいることを確認するだけ。遠くから見るだけでもいい…千遥に会いたい…

(咲太郎)だけどどうやって捜すんだ?

(なつ)信さんが捜してくれるって

(咲太郎)信が…?

(なつ)ねえお願い…おばさんが引っ越す前の住所教えて

咲太郎は古い手紙を持ってきます。それはなつや咲太郎の母のいとこがくれた手紙でした。

(咲太郎)これがおばさんから孤児院に来た最後の手紙だ。そこに千遥は幸せに暮らしてると書いてある

(なつ)ねえそれじゃ…お兄ちゃんが孤児院を出た後、引っ越し先を知らせる手紙が来てるかもしれないね

(咲太郎)来てないよ、それからは一通も来てないそうだ。引っ越す前の家にも行ったんだ

(なつ)えっ

(咲太郎)近所の人に聞いてもどこに行ったか分からなくて

(なつ)お兄ちゃんもやっぱり会いたかったんだよね

(咲太郎)当たり前だろ、信によろしく頼むと言ってくれ

(なつ)ありがとう、お兄ちゃん

川谷としはなつの母親のいとこ。その手紙の住所を頼りに信哉が千遥を捜してくれることになりました。

そして第66話では、信哉が千遥の引っ越し先がわかったとなつと咲太郎に伝えに来ました。

(信哉)同じ千葉にいたよ。千葉の船橋って所だ。川谷としさんって人がなっちゃんたちの親戚だよね?

(なつ)うん、お母さんのいとこ、一番仲がよかった人だって

(信哉)そのとしさんと結婚した川谷幸一さんっていう人の行方を追った方がいいと思ったんだ。それで幸一さんを知っていそうな人を片っ端から探して訪ねていった。それでやっとその知り合いのうちの一人が今の幸一さんから来た年賀状を持ってたんだ。それで船橋の住所が分かったんだよ

(なつ)うん…

(信哉)幸一さんはね、戦争に行って足をけがしたらしい。それで農業ができなくなって引っ越ししたらしいんだ。

(なつ)それで、千遥は今も一緒にいるんだよな?

(信哉)分からない。その住所までは見に行ったんだ。それでそれらしい女の子は見かけたけど声はかけなかった

(なつ)千遥かどうか分からなかったの?

(信哉)僕の記憶では分からなかった…ごめん

(亜矢美)しょうがないよ、5歳の時にねえ、会ったっきりでしょ?

(なつ)ねぇ、お兄ちゃん、会いに行こう!

(咲太郎)うん…

(なつ)会うのがダメなら見るだけ。とにかく千遥が無事なことを確認したい

なつと咲太郎は、千遥を捜しに行くことにしました。それはなつの誕生日の8月15日に合わせて行ったのでした。

なつぞら第63話のあらすじと感想(2019年6月12日放送)

なつぞら第66話のあらすじと感想(2019年6月15日放送)

千遥は6歳の時に家を出ていた

なつと咲太郎は妹の千遥に会うために、船橋の川谷幸一さんの家を訪れます。すると、その家から、男性と女性が出てきました。なつは「千遥」と声をかけました。

(なつ)そんで千遥は今どこにいますか?

(幸一)申し訳ない…千遥ちゃんはいないんです

(咲太郎)いないってどういうことですか?

(幸一)いないんです…許して下さい…

(なつ)どういうことですか?

(咲太郎)千遥は…死んだということですか?

(幸一)いえそれが…家出をしたんです…

(なつ)家出?

(咲太郎)いつですか!

(幸一)私が復員してしばらくしてから…21年の夏でした。警察にも届けたんですが手がかりはなくて…

(なつ)そんな…そんな前に…

(咲太郎)それなら、どうして教えてくれなかったんですか!?

(幸一)私はすぐ千遥ちゃんのいた孤児院に行ったんです。そしたらそこにはもう誰もいませんでした

(咲太郎)手紙は?俺の出した手紙があったはずです。その手紙にはここにいるなつの住んでた北海道の住所が書かれていたはずです

(幸一)その手紙は千遥ちゃんが持って出たようです

(咲太郎)千遥が?

(幸一)はい。だから…いずれはあなた方に会えるだろうと私たちはいちるの望みを抱いていたんですが…

(なつ)千遥は…私らに会いたくなって家出したんですよね?私や兄に会いたくて…

(幸子)うちの母から逃げたんだと思います

(なつ)えっ?

(幸一)幸子

(なつ)逃げたって…

(咲太郎)どうして?

(幸子)母が…千遥ちゃんにきつく当たっていたからだと思います。千遥ちゃんにばかりきつい仕事を言いつけて…食べ物も私や兄や姉よりも少なく与えて…それで我慢しきれなくなって千遥ちゃんは逃げ出したんだと思います

(咲太郎)おばさんが?おばさんはそんな人じゃなかった…俺はよく覚えてます。母にとっておばさんは唯一の姉妹みたいな人で、本当は俺たち家族全員で疎開しようとしてたくらいなんです

(幸一)あのころの家内は本当の家内ではなくなっていました。私がこんな体になって復員して幸子の上にも3人の子どもがいて、食べ物もなくて働き手もいなくて…

(咲太郎)だから…千遥をいじめたんですか?

(なつ)千遥は…ずっと苦しんでたんですか…

(幸子)千遥ちゃんはずっと笑っていました

(なつ)えっ?

(幸子)だから私も平気なのかと思って…千遥ちゃんは嫌なことがあっても、作り笑いばかり浮かべてて、それで母は余計にイライラしてたみたいで…バカにしてるのかってどなって…ごめんなさい…私たちのせいなんです

(幸一)本当に申し訳ない…

なつと咲太郎は残酷な話を聞くことになりました。5歳で別れた妹の千遥は6歳のときにはすでに家出をしていたのでした。

咲太郎となつはこの話を聞いてこんな会話をしていました。

(咲太郎)大丈夫だよ、なつ。警察に届けたと言ってるし…もし千遥の身に何か悪いことが起きたんなら、そういう知らせがとっくにあったはずだよ。な、信、そう思うだろ?

(信哉)ああ…

(亜矢美)そう…そうね、その方が可能性として高いわね。そういう知らせがないってことはきっとどこかで無事に生きてるってことだわ

(なつ)道で暮らす子も亡くなる子も街にまだたくさんいた頃だよ…

(咲太郎)それでも千遥は…どこかで生きてるよ!

(なつ)そんな奇跡信じろって言うの?お兄ちゃんの手紙だって持ってってるんでしょ?それなのにどして連絡がないの!千遥は6歳だったんだよ…どうやって一人で生きていくのさ?

(咲太郎)一人じゃないかもしれないだろ。俺やお前も一人じゃなかった。だから生きられた。俺たちが生きられたのだって奇跡だろう

(なつ)私は…何も知らないまま今まで生きてた…千遥の悲しみや絶望を知らないまま…幸せに…千遥を見捨てたのに

(咲太郎)なつ!

(信哉)なっちゃん…

(亜矢美)そんなふうに考えちゃダメ

(なつ)お兄ちゃん…奇跡なんてないんだわ

なつは自分だけが北海道で幸せに暮らしていたことを千遥に申し訳ないと思ったのでした。でも、なつも千遥を信じることにしました。第70話では信哉とこんなことを言っていました。

(なつ)北海道には手紙を書いて知らせておく。千遥が今からでも手紙を読んで頼らないとも限らないしょ?

(信哉)なっちゃん…

(なつ)暑いね、ねえ信さん

(信哉)うん?

(なつ)6歳の女の子がいくらつらいからといって読めもしない手紙を持って大人のいる家から逃げ出すなんてこと…そんな勇気よく持てたよね。お兄ちゃんも私もそういう千遥を信じてる。私は千遥の生きる力を信じてるから!

(信哉)うん、そうだね、僕も信じてる

そしてなつはアニメーターの自分の名前が映画のポスターに出れば、千遥が気づくかもしれないと考えて、アニメーターの仕事を頑張ることにしました。

千遥のことは警察に改めて届けを出し、北海道の家族にも手紙で伝えました。

そしてその北海道で事件が起きたのです。

なつぞら第67話のあらすじと感想(2019年6月17日放送)

なつぞら第70話のあらすじと感想(2019年6月20日放送)

千遥がいきなり北海道を訪れる

千遥は咲太郎の手紙を持って家を出ていました。そこにはなつが当時住んでいた北海道の柴田家の住所が書かれていました。それを頼りに、ついに 千遥は柴田家を訪れたのでした。

(照男)えっ…誰だ?

(千遥)あっあの…すみません

(照男)はい…どしたの?

(砂良)誰?

(照男)知らんけど…

(千遥)お姉ちゃん?

(砂良)えっ何て?

(千遥)あっいえ…何でもありません。道に迷っただけなんです

(照男)道に迷った?

(千遥)お邪魔しました。ごめんなさい

(富士子)待って!あなたもしかして…千遥ちゃん?やっぱり?そなの?千遥ちゃんなのね?

(照男)それって…

(砂良)まさか…なっちゃんの?

(千遥)なっちゃん?

(砂良)そう?あなたなっちゃんの妹?

(富士子)奥原なつっていう人、捜しに来たんでないんかい?

(砂良)だからさっき私のことお姉ちゃんと…ごめんね、私はなっちゃんじゃないんだわ

(富士子)私らはなつが北海道に来て9つからの家族だけどここは今でも奥原なつの家で間違いないの。ここを探して来てくれたんでしょ?ずっとあなたを待ってたんだわ…本当なのね?本当にあなたが千遥ちゃん?

(千遥がうなずく)

(富士子)よく来た…よく来てくれた

こうして千遥が柴田家に来ました。でも、千遥はなつには会いたくないと言います。

(千遥)お邪魔しています

(泰樹)そうか…よう来たな、いや本当よう来た、おいなつに知らせたか?

(富士子)まだ…

(泰樹)何してんだ。すぐ知らせてやらんか

(富士子)そだね…電話があるもね。あっこの時間はなつはまだ…

(千遥)待って下さい

(富士子)えっ?

(千遥)姉にはどうか…知らせないで下さい

(富士子)なして?

(千遥)すみません…それはいいんです

(富士子)いいって…

(千遥)姉が無事だと分かったら…私はそれでいいんです

(富士子)あっ、ちょっと待って…

(千遥)姉には会いたくないんです

(富士子)えっ…

(千遥)すみません…許して下さい…このままで…

(富士子)したけど…ここが分かったのはどうしてなの?子どもの頃、お兄さんの咲太郎さんからあなたのいた親戚の家に来た手紙をあなたが持っていたからでないの?

(千遥)そうです

(富士子)なつは最近そのこと知ってね。とっても心を痛めていたんだわ。そんでずっといつかあなたが会いに来てくれるんじゃないかって待ってたの。その千遥ちゃんがやっとなつに会いに来てくれたんでないの?

(泰樹)まあ…まあそうやって言うもんでねえ。しゃべりたくないことだってある

(富士子)父さん

(泰樹)何も聞かんでええ、ここに来てくれただけで十分だ。ここはな、なつのうちだ。ということは妹のあんたのうちでもあるんだ。好きにしてればいい

そうは言ったものの、泰樹が千遥を牛舎に連れて行っている間に、富士子は東京のなつに電話をしました。

(なつ)えっ!?本当に…千遥が来てるの?

(富士子)千遥ちゃんにはないしょでなつに電話してんだわ

(なつ)どういうこと?

(富士子)なつには来たことを知らせなくてもいいって言うんだけど、そういうわけにもいかないっしょ

(なつ)どうして!?千遥は私に会いたくないって言ってんの?

(富士子)そんなわけはないと思うんだけど…だってここまで来たんだから…とにかく何か事情があるんだわ…

(なつ)すぐ行く!そっちにすぐ行くから!

(富士子)千遥ちゃんのことはできるだけ引き止めておくけど…

(なつ)母さん…

(富士子)えっ?

(なつ)そんで母さんから見て、千遥は今どんなふうに見えてるの?

(富士子)とてもすてきないいお嬢さんに見える

(なつ)本当?本当に?

(富士子)うん…千遥ちゃんも東京にいたらしいの、本当のことは何も分かんないけど、私にはとても幸せそうないいお嬢さんに見えた

(なつ)本当かい…

なつは千遥が幸せそうに見えたという富士子の言葉を聞いて安心したようでした。

なつぞら第79話のあらすじと感想(2019年7月1日放送)

咲太郎、なつ、千遥、兄妹が電話で話す

そして、なつは北海道に帰ろうとするわけですが、千遥がなつに会いたくないと言っていたことが気になります。

咲太郎と一緒に、風車から柴田家に電話をすることにしました。

(泰樹)はい。なつか?

(なつ)うん、じいちゃん…千遥は今そこにいるの?

(泰樹)うん…今代わる

(千遥)もしもし

(なつ)千遥?千遥なの?千遥…お姉ちゃんだよ

(千遥)お姉ちゃん?

(なつ)千遥…千遥ごめんね…よかった

(千遥)ご心配おかけしてすみませんでした

(なつ)何言ってんの?千遥…

話の途中でしたが、咲太郎がなつから受話器を奪い取るようにして電話に出ます。

(咲太郎)千遥!俺だ、兄ちゃんだぞ!

(千遥)お兄ちゃん?

(咲太郎)そうだ咲太郎だ!お前の兄ちゃんだよ!悪かった…お前をあの家に預けて…本当に兄ちゃんが悪かった…すまなかった…今からすぐそっちに行くから!すぐ行くからな、待っててくれ!絶対にもうお前を放さないからな!分かった…

ここで千遥が電話を切ってしまいます。千遥は柴田家の家族に電話を切った理由を話します。

(千遥)私、昔のことは…姉や兄と一緒にいた頃のことはあまりよく覚えていないんです。ところどころはっきりと覚えているんですけど…それがいつの記憶でどういう時のことだったのか。細かいことは思い出せないことが多くて…

(富士子)無理もないわ…5歳までだったんでしょ?咲太郎さんやなつと一緒にいたのは…

(剛男)忘れてしまいたいようなつらいことも多かったろうしな

(千遥)でも今…電話で声を聞いたら…その途端に私の姉だと分かりました…兄の声だと分かりました…そのことに何だか驚いてしまって…何て言えばいいのか分からなくなって…

もい一度かけてもいいかと千遥は言いました。そしてなつともう一度話します。

(なつ)もしもし!千遥ちゃん?

(千遥)先ほどはすみませんでした…お姉ちゃん?

(なつ)千遥…声がすっかり大人になったね…あ…それはお互いか…ねえ千遥…お願いだからそこで待ってて、今すぐ行くから…どうしても千遥に会いたい…

(千遥)分かりました…私も…会いたいです

(なつ)千遥…

こうして、なつたちの兄弟が北海道で会うことになりました。

なつぞら第80話のあらすじと感想(2019年7月2日放送)

千遥の過去

千遥はなつと咲太郎が東京から北海道に向かっている間、柴田家で生活しました。柴田家の家族には千遥の過去を少し話したのでした。

(剛男)千遥ちゃんは自分のお父さんのことは覚えてないの?

(千遥)父や母のことは全く…顔も思い出せないくらいで…

(剛男)そうか…僕は君のお父さんと戦地で一緒に戦って、どっちが先に亡くなっても残された家族に手紙を届けようって約束したんだ。だから僕は復員してすぐ咲太郎君となつを捜して会いに行った。残念ながらその時千遥ちゃん、もういなかったけど

(千遥)はい、そのことは兄が親戚のおばさんに出した手紙に書いてありました

(富士子お)千遥ちゃんは6歳の時にその手紙を持っておばさんの家を出たんでしょ?

(千遥)はい

(富士子)それからは随分苦労したんでしょうね…

(千遥)家出をしてすぐ私はある人に拾われて…東京の置屋に預けられました

(剛男)置屋!?

(明美)おきやって?

(千遥)芸者さんのいるところ

(明美)えっ!千遥ちゃんは芸者さんなんかい?

(富士子)明美

(千遥)私はまだ半人前で…お酌って呼ばれる見習いみたいなもの。私は運がよかったんです。そこでみんなからお母さんと呼ばれている女将さんがとてもいい人で、頼もしくていいお姐さんたちにも囲まれて。私は何不自由なく食べるものにも困らず今まで育ててもらいました

(富士子)ああ…本当?本当かい?本当に千遥ちゃんは幸せに暮らしてたんかい

(千遥)はいとても幸せです

(剛男が泣く)

(富士子)何さ泣くことないしょや

(剛男)いや…それを知ったら、なつや咲太郎君だけじゃなく、亡くなられた奥原さんやお母さんもどんなにほっとするか

このことは後で、千遥がなつと咲太郎に書いた手紙にも書かれていまいた。この話を聞いた泰樹は、千遥を一緒に働こうと誘います。そして、千遥は搾乳をしました。

明美は千遥になつの写真を見せました。大人になったなつを見ても、もちろん千遥はよくわからなかったのです。

(明美)これ

(千遥)これが私のお姉ちゃん?

(明美)そう、覚えてる?

(千遥)こんな人だったんだ…明美ちゃんに似てるね

(明美)えっそんなわけないしょ

(千遥)あるわよ、人は一緒に暮らしてる人に似てくるものだって

(明美)ふ~ん…だったらうれしいけど、千遥ちゃんにも似てるよ

千遥はその後、牛の世話を手伝ったのですが、そのとき信哉が千遥の写真を撮りました。これに千遥は意外な反応をします。

その写真を誰にも見せないでほしいと言ったのです。何かわけがありそうな感じがしたのですが、そのままなつと咲太郎と会うときが近づいていました。

なつぞら第81話のあらすじと感想(2019年7月3日放送)

なつと咲太郎が柴田家につくと千遥はいなかった

なつと咲太郎が柴田家に着いたとき、千遥はいませんでした。いなくなってしまったのです。

(なつ)じいちゃん、ただいま

(泰樹)うん、お帰り

(なつ)じいちゃん、千遥は?

(泰樹)おらん

(なつ)えっ…?

(泰樹)おらんようになった

(なつ)どういうこと?

(咲太郎)千遥はいないんですか?ここに

(富士子)急にいなくなってしまったの

(なつ)えっ…どして!?

(富士子)分かんないの…なつや咲太郎さんをここで待っててくれるもんだと思ってたんだけど

(照男)放牧された牛を見に行ってるばかりと思ってたらいつの間にかいなくなってて…何かあったんじゃないかとみんなでこの辺捜し回ったんだわ

(砂良)私の父さんも一緒に捜したんだけどどこにもいなくて

(照男)ごめん、なつ

(なつ)そんな…

(咲太郎)千遥は皆さんに黙って帰ったということですか?

(富士子)そうとしか考えられんの…

(なつ)なしてよ!

兄妹が会うことはできませんでした。ただ、信哉が撮った写真で千遥の顔を見ることはできました。みんなどうして千遥がいなくなったのかわからずにいました。

しかし、数日後、まだ柴田家にいたなつの元に千遥から手紙が届きました。帯広から出した手紙でした。その手紙の中ですべてを語っていました。

なつぞら第82話のあらすじと感想(2019年7月4日放送)

千遥からの手紙

千遥からなつと咲太郎に宛てた手紙には、千遥の過去やどうしてなつに会う前に柴田家を去ってしまったのかが書かれていました。

お姉ちゃん、お兄ちゃん、急に帰ってしまってごめんなさい

柴田牧場の皆さんにも大変失礼なことをしました

おわび申し上げます

私は子どもの頃、おばさんの家にいるのがつらくて逃げ出しました

線路を見つけてそこをたどっていけば

お姉ちゃんやお兄ちゃんのいる東京に行けると思ったのです

どこかの駅で一人の復員兵の人に助けられました

今では顔も思い出せないその人は私を連れて東京に行ってくれました

そして私を自分の娘だと言って置屋に売ったのです

私は18歳になる今までそこの女将さんをお母さんと呼んで

人並みに育つことができました

私は今奥原千遥ではありません

女将さんは私を戦災孤児として届け出をして

自分の戸籍に養女として迎えてくれたからです

今でも独身の女将さんは本当に私のお母さんになってくれたのです

私は置屋の娘になりました

そんな私に最近、結婚してほしいという人が現れました

とても立派な家柄の人で私にはとても不釣り合いな人です

その時お母さんから兄の手紙を見せられました

どこかで無くしたと思っていましたが

お母さんが私の荷物から見つけて預かってくれていたのです

昔の家族とは縁を切らなくてはならないと言われました

相手は立派な家柄なので私が浮浪児だったということを

先方の親に知られたら破談になってしまうからです

私の幸せを願うお母さんのためにも私は結婚をしようと思いました

それでも私は最後に北海道に行くことをお母さんに許してもらいました

もしお姉ちゃんが今不幸でいたなら

私は今の幸せを投げ出してでも助けなければならないと、そう思いました

だけどもし幸せでいてくれたら

私はお姉ちゃんと永遠に別れなくてはいけないと、そう決意しました

その家でお姉ちゃんがどんなふうに暮らしていたか

それを知るのに時間はかかりませんでした

それからお姉ちゃんとお兄ちゃんと電話で話した時に

突然昔のことを思い出したのです

空襲のあとおばあさんに芋を恵んでもらってお姉ちゃんと食べたこと

アメリカ軍人の靴磨きをしてチョコレートをもらったこと

お兄ちゃんが大勢の人を前にかっこよく踊っていたこと

信さんも一緒にみんな家族のように

池のほとりでたき火をしてザリガニを焼いたこと

石蹴りをして転んで泣きわめく私を

お姉ちゃんが力いっぱい抱き締めてくれたこと

私は柴田牧場でお姉ちゃんの服を着て働いた時

何だかお姉ちゃんに抱き締められているような気がしました

ここで私まで幸せを感じて

そしてお兄ちゃんお姉ちゃんに会ってしまったら

別れられなくなると怖くなったのです

だから私は逃げ出したのです

一生会うことはもうありません

会えません

お兄ちゃんも元気でいてくれて本当によかった

私は一生自分の過去とは別れません

柴田牧場で過ごした短い時間も忘れることはありません

どうか皆さんお元気で

お世話になりました

さようなら

ごめんなさい

千遥

追悼

私の記憶の中にあるお兄ちゃんとお姉ちゃんを思い出して絵を描きました

感謝を込めて

ありがとう

その手紙の最後には、千遥が描いたまだ子どもの頃の咲太郎となつの絵がありました。千遥と咲太郎はそれを見て泣いたのでした。

なつぞら第83話のあらすじと感想(2019年7月5日放送)

こうして、なつと咲太郎は東京に帰ることになりました。結局、3人が会うことはなく、これからも会えないという手紙を千遥が残しました。

それでも、千遥が元気で生きていたということがわかりました。もしかしたら、将来、どこかで会える日が来るかもしれません。会ってほしいですよね。それを期待して、これからもなつぞらを見て行こうと思います。

千遥のことを思い出すなつ

それから千遥と会うことはなかったのですが、千遥のことをなつが思い出すシーンはありました。第97話では、なつがアニメーターとして雑誌の取材を受けて、週刊誌に載ったのでした。

亜矢美はたくさん本を買ってきていました。そして、北海道にも送らなきゃと言います。そこでなつは千遥を思い出しました。

(なつ)千遥に送れたらいんですけどね

(亜矢美)千遥ちゃんか…うん…いやきっとどこかで見てるって、知ってるんでしょ?

(なつ)漫画映画を作ってることは…

(亜矢美)だったら絶対この記事だって見てるって

(なつ)えっそうでしょうか…

なつは前に漫画映画のポスターに自分の名前が載ったら、千遥に気づいてもらえるかもしれないとかんばっていました。

北海道からいなくなった千遥が、その後出てくることはないのですが、きっとこの週刊誌を見て、千遥もなつを思い出していることでしょう。

なつぞら第97話のあらすじと感想(2019年7月22日放送)